メトロロジー・ウエル校正器 9171 シリーズ
主な機能
- きわめて優れた安定度(±0.005 ℃)および軸均一性(±0.02 ℃が60 mmゾーンをカバー)。
- 203 mm(8インチ)の浸漬深さ
- オプションのITS-90参照入力はPRTを±0.006 ℃まで読み取り
- -45 ℃~700 ℃ の幅広い温度範囲
製品概要: メトロロジー・ウエル校正器 9171 シリーズ
表示確度
ドライウエルは通常、校正済み PRT をウエルの 1 つに挿入し、ドライウエルに内蔵された制御センサーを PRT の読み取り値に基づき、調整して校正されます。しかし、本来校正器の中に校正済みの基準 PRT に特有の特性値は、校正される温度計の特性値とはまったく異なることが多いため、この方法には限界があります。ブロック内に大きな温度勾配が存在すること、またブロックへのセンサーの不適切な浸没度 (単に短すぎる) によって、問題は複雑になります。
当社の Metrology Well は、これとは一線を画します。校正された表示がより意味のあるものとなるよう、温度勾配、負荷効果、ヒステリシスを最小に抑えています。当社は Metrology Well の校正に、トレーサビリティーが取れかつ認定された PRT のみを用いています。また独自の電子技術により、仕様 (最頻使用温度で ± 0.1 °C、661 °C で ± 0.25 °C) よりも 10 倍以上良い繰り返し確度を常に示します。
上記の内容詳細については、アプリケーション・ノートをご覧ください。ここを右クリックして「Save Target As...」を選択します。Metrology Well の使用に関する詳細については、アプリケーション・ノート (Adobe Acrobat (.pdf) 形式) をダウンロードしてください。
より良い確度が必要な場合には、ITS-90 に準拠外部 PRT を読み取り可能な電子装置内蔵の Metrology Well をご利用ください。(サイドバーにある「Built in Reference Thermometry」を参照してください)
安定性
Fluke Calibration の熱源は、世界最高レベルの安定性を備えていることで長く知られてきました。これを上回ることができるのは、Metrology Well のみです。低温用の 2 つのモデル (9170 および 9171) は、フル・レンジで ± 0.005 °C の安定性です。高温モデルの 9173 ですら 700 °C で ± 0.03 °C の安定性を備えており、これに勝る安定性は液体バスや、一次固定点装置でしか得られません。大多数のドライウエル・メーカーが使用する "既製のコントローラー" では、このレベルの性能は実現できません。
軸方向均一度
EA-10/13 では、ドライウエルは通常、底部に 40 mm の最高温度均一ゾーンを持つことが推奨されています。しかし、Metrology Well は独自の電子装置とデュアル・ゾーン制御のほか、従来のドライウエルにはなかったウエル深度により、60 mm にわたる温度均一ゾーンを実現しています。これらのゾーンにおける垂直方向の均一度は、0 °C で ± 0.02 °C、700 °C で ± 0.4 °C です。
さらに、Metrology Well はいずれの製品も各装置に関して公表されている仕様を備えており、こと性能については他社に一歩も譲りません。
放射状の均一度
放射状の均一度とは、ウエル間の温度差です。熱源の設計に不備があったり、プローブの直径が大きすぎたりすると、この温度差はきわめて大きくなります。Metrology Well の放射状の均一度の仕様は、直径 6.4 mm 以下の任意のウエル 2 つにおける軸方向均一ゾーン間の最大温度差として定められています。低温モデル (9170 および 9171) の放射状の均一度は ± 0.01 °C であり、高温モデル (9172 および 9173) では ± 0.01 °C ~ ± 0.04 °C (700 °C の時) です。
負荷
負荷は、基準温度計用のウエル以外の全ウエルに温度計が挿入された後、ウエルの底部まで挿入された基準温度計により感知された温度変化として定義されます。
Metrology Well では、軸方向の温度勾配が最小に抑えられているのと同じ原理により、負荷効果が最小化されています。当社は、どのドライウエルよりも深いウエルを採用しています。また、独自のデュアル・ゾーン制御を用いています。低温モデルの負荷効果は、わずか ± 0.005 °C です。
ヒステリシス
温度ヒステリシスは、特性の優れた基準温度 PRT よりも内部制御センサー内にはるかに多く存在します。温度ヒステリシスは、同一の温度設定ポイントを 2 つの外部温度計で異なる方向 (高温側および低温側) から測定した場合の温度差となって現れます。通常の場合、その差は熱源の温度レンジの中間点で最大になります。温度ヒステリシスが存在する理由は、内部制御センサーは壊れにくく作られており、SPRT や多くの PRT のような "歪みのない" 設計にはなっていないためです。Metrology Well では、ヒステリシスは 0.025 °C ~ 0.07 °C のレンジにあります。
浸没度
浸没度に対するこだわり浸没度は、軸方向の温度勾配と負荷効果を最小にするうえで有用なだけでなく、熱源で試験用に使用される各温度計の固有の浸没特性に対応するうえで役立ちます。浸没特性に影響を及ぼすものには、プローブ内における実際のセンサー位置や寸法のほか、プローブの幅や熱量、センサーを外へ導くリード線が挙げられます。Metrology Well のウエルの深さはモデル 9171、9172、9173 で 203 mm です。モデル 9170 では、-45 °C の温度に容易に到達できるよう、160 mm の深さになっています。
その他の大きな特徴
大型 LCD ディスプレイ、数字キーパッド、オン・スクリーン・メニューなどにより、Metrology Well を直感的に簡単操作できます。ディスプレイには、ブロックの温度、内蔵型基準温度計の温度、遮断温度、安定性の尺度、ランプ・レートなどが表示されます。ユーザー・インターフェースは、英語、フランス語、中国語のいずれかで表示できます。
4 種類のモデルのすべてに RS-232 シリアル・インターフェースが付属し、モデル 9930 には Interface-it ソフトウェアが付属します。また、どのモデルも、RTD、熱電対、サーミスターを完全自動校正する 9938 MET/TEMP II ソフトウェアに互換性を持ちます。
Metrology Well は、PC がない状況でもあらかじめプログラムされた 4 種類の校正作業を実行できます。このプログラムでは最大 8 つの温度を設定でき、各ポイント間の "ランプおよびソーク" 時間を設定可能です。サーマル・スイッチの "デッドバンド" に照準を合わせた自動の "スイッチ・テスト" プロトコルもあります。専用の °C/°F ボタンにより、温度単位を簡単に切り替えできます。
本体の注文時に、メートルあるいはヤード・ポンド法表記のプローブ径に対応した 6 種類の標準インサートから、1 つをお選びいただけます。(右図参照。詳細については、全体を網羅したデータ・シートをダウンロードしてください)。また、Metrology Well は小型で軽量なため、どこにでも持ち運びできます。
9170
モデル 9170 は、本シリーズの中で最低温度をカバーし、通常の室温状態で -45 °C まで到達します。安定性は全温度レンジ (最高 140 °C) で ± 0.005 °C であり、浸没度は 160 mm です。± 0.02 °C の軸方向均一度と ± 0.01 °C の放射状の均一度により、不確かさバジェットがきわめて小さく、製薬業などさまざまな分野での用途に最適です。
ドライウエル校正器や "ドライ・ブロック" 校正器にも、活躍の場は当然まだあるでしょう。しかし実際、Fluke Calibration こそが最高の性能を備え、持ち運びが便利で、温度速度の速いドライウエルを世界中に提供し続けていきます。産業用レベルにおいて温度センサーの性能を迅速に試験する用途では、これに勝るものはありません。
仕様: メトロロジー・ウエル校正器 9171 シリーズ
仕様 | ||
レンジ (周辺温度 23 °C) | -30 °C ~ 155 °C | |
表示確度 | ± 0.1 °C フル・レンジ | |
安定性 | ± 0.005 °C フル・レンジ | |
軸方向均一度 (60 mm) | -30 °C で ± 0.025 °C 0 °C で ± 0.02 °C 155 °C で ± 0.07 °C | |
放射方向の均一度 | ± 0.01 °C フル・レンジ | |
負荷効果 (6.35 mm 基準プローブ 1 つおよび 6.35 mm プローブ 3 つ) | -30 °C で ± 0.005 °C 0 °C で ± 0.005 °C 155 °C で ± 0.01 °C | |
ヒステリシス | 0.025 °C | |
ウエル深さ | 203 mm | |
分解能 | 0.001 °C | |
ディスプレイ | LCD、°C または °F、ユーザーが選択可能 | |
キーパッド | テンキー (小数点、+/- ボタン付き)ファンクション・キー、メニュー・キー、°C/°F キー | |
冷却時間 | 30 分: 23 °C から -30 °C 25 分: 155 °C から 23 °C | |
加温時間 | 44 分: 23 °C から 155 °C 56 分: -30 °C から 155 °C | |
サイズ (高さ x 幅 x 奥行) | 366 x 203 x 323 mm | |
重量 | 15 kg (33 lb) | |
電源 | 115 V AC (± 10 %)、または 230 V AC (± 10 %)、50/60 Hz、550 W | |
コンピューター・インターフェース | RS-232 インターフェース (9930 Interface-it 制御ソフトウェア付属) | |
トレーサブル校正 (NIST) | -30 °C、0 °C、50 °C、100 °C、155 °C でのデータ | |
† 660 °C まで校正済みです。さらに高温で使用する場合は、基準温度計の併用を推奨します。 | ||
仕様 | 内蔵基準入力 | |
温度レンジ | -200 °C ~ 962 °C | |
抵抗レンジ | 0 Ω ~ 400 Ω、自動レンジ | |
特徴 | ITS-90 サブレンジ 4、6、7、8、9、10、11 Callendar-Van Dusen (CVD): R0、a、b、d | |
抵抗確度 | 0 Ω ~ 20 Ω: 0.0005 W 20 Ω ~ 400 Ω: 25 ppm | |
温度確度 (プローブの不確かさは含まず) | 10 Ω PRT: 0 °C で ± 0.013 °C 155 °C で ± 0.014 °C 425 °C で ± 0.019 °C 700 °C で ± 0.028 °C | 25 Ω および 100 Ω PRT: -100 °C で ± 0.005 °C 0 °C で ± 0.007 °C 155 °C で ± 0.011 °C 225 °C で ± 0.013 °C 425 °C で ± 0.019 °C 661 °C で ± 0.027 °C |
抵抗分解能 | 0 Ω ~ 20 Ω: 0.0001 Ω 20 Ω ~ 400 Ω: 0.001 Ω | |
測定期間 | 1 秒 | |
プローブ接続 | シールド付き 4 線式、5 ピン DIN コネクター | |
校正 | NVLAP 認定済み (内蔵基準入力のみ)、NIST トレーサブル校正付属 |