高精度熱電対用校正炉 9118A
主な機能
- 最大1200 ℃の高性能熱電対校正。
- 水平、オープンエンドのチューブ炉。
- 温度範囲は 300 ℃~1200 ℃。
- 二次高温ラボと機器ショップによる貴金属およびベースメタル熱電対の比較校正。
- 航空宇宙、自動車、エネルギー、金属、プラスチックなどの産業に最適。
製品概要: 高精度熱電対用校正炉 9118A
9118A高温校正炉の7つの特長:
1. ほとんどの高温アプリケーションに対応する広い温度範囲
AMS 2750やEURAMET cg-8などの規格や指針は、熱電対を全使用範囲にわたって校正するよう要求しています。9118Aの温度範囲は300℃から1200℃まであるため、ほとんどの高温アプリケーションに対応します。
2. 柔軟なシステム構成で多くの熱電対校正が可能
9118A熱電対校正炉は、専用の均熱ブロック用いて、または均熱ブロック無しでも使用でき、一つの炉によって実施可能な校正作業を増やすことができます。:
- チューブ型の校正炉として使用(均熱ブロックを用いない装置構成): 卑金属熱電対は多くの場合、グラス繊維やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などの被覆で覆われています。校正時の卑金属熱電対は、参照用温度計の周囲にガラス繊維のコードまたはテープで束ねて保持し、チューブの中央に挿入します。
- 均熱ブロックを用いた装置構成: 金属またはセラミックシースの熱電対は多くの場合は貴金属熱電で、高い校正の精度が要件されます。均熱ブロックは、6.35mm(0.25インチ)シーズ熱電対を最大4本まで挿入し、温度の均一性と安定性を向上させます。これにより、参照用の温度プローブと被校正温度計(UUT)間の温度差が減少し、均熱ブロックを用いない校正と比較して校正の不確かさを低減できます。
校正炉の構成の変更は、コントローラに保存されている校正パラメータを必要に応じて選択し、アルミナセラミック均熱ブロックを挿入または取り出すことにより、迅速に実施可能です。
3. クラス最高の温度均一性と安定性による高い校正精度を実現
軸方向と放射方向の温度の均一性と時間の経過に応じた温度安定性は、熱電対の高精度な校正に欠かせない要素です。
3つのヒーターゾーンをアクティブ制御することで、中央ゾーンと前後ゾーンの間の温度差を最小化し、軸方向の温度勾配を最小に保ちます。温度制御およびカットアウトには、複数ある熱電対の中でもドリフトが小さいS型熱電対を使用しています。均熱ブロック使用時の軸方向温度均一性は、1200℃でウェル(孔)の最深部から60 mmの範囲で±0.2°Cです。
均熱ブロック使用時の放射方向(ウェル間)均一性は1200℃で±0.25℃、均熱ブロックを用いない場合はチューブの中心で半径14 mm(0.6インチ)の範囲にわたって±0.5℃となります。
均熱ブロック使用時は、炉の全温度範囲における温度均一性は±0.1°C以下となります。
いずれの動作モードにおいても、同クラスで同等の性能を持つ校正炉は他にありません。
4. 温度制御の自動化により校正室の生産性を向上
9ヶ国語(英語、中国語、フランス語、ドイツ語、日本語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、ロシア語)に対応する独自のプログラマブルコントローラにより、最大8つの設定温度、温度変化率、各設定温度における炉の制御時間等を自動制御することができます。
さらにフルークの1586A Super-DAQをRS-232インタフェースで9118A校正炉に接続することにで、校正を自動化しデータ収集機能をより強化できます。Super- DAQは、炉の設定温度を制御し、炉がユーザ設定の温度範囲パラメータ内で安定したら、試験対象のすべての温度センサのデータを収集するようにプログラム可能です。プログラムの最初の設定温度でデータを収集すると、Super-DAQはプログラムで次に設定された温度に9118Aを移行させ、各設定温度でのデータを収集していきます。設定した試験を開始した後、校正技術者はその場を離れて別な作業を行うことができます。
5. 金属を含まない均熱ブロックで熱電対の汚染を抑制
金属の均熱ブロックを用いた校正炉は熱電対を汚染させ、経年的な精度変化の原因となることがあります。この汚染を最小限にするために、9118Aの炉と均熱ブロックは金属を用いないセラミック製となっています。これにより、高価なセラミックスリーブで試験対象の熱電対を防護する必要がなくなり、コスト削減につながります。
6. ほとんどの熱電対校正に対応する十分な挿入長
AMS2750などの工業規格では、熱電対の校正を一定以上の挿入深さで実施することを推奨しています。9118Aの挿入長は、均熱ブロックの使用時は365 mm、均熱ブロック非使用時は炉の中心までの350 mmです。ほとんどの熱電対校正は、この挿入長があれば十分です。延長された熱電対を校正する場合、また熱電対線のスプールをサンプル試験する場合は、40 mm × 700 mm(1.6インチ× 27.6インチ)で両端が開放されたチューブ型の炉として用いると便利です。
7. ヒーターのアクティブ制御およびカットアウトにより、動作の信頼性と安全性を向上
9118Aは、ヒーターエレメントの過熱を防止するためにヒーター電源レベルを100%未満となるよう制御しており、それによりヒーターの製品寿命と信頼性が改善されます。9118Aには、炉の安全を確保するための過熱防止カットアウト機能が内蔵されています。これには、オーバーヒート、シャーシ・サーモスタット、ファンの障害、熱電対制御エラー、そしてユーザ設定可能なカットアウトが含まれます。
仕様: 高精度熱電対用校正炉 9118A
一般仕様 | |
環境条件 | |
動作温度 | 5 °C ~ 40 °C |
保管温度 | –20 °C ~ 70 °C |
湿度 | 31 °C未満で最大80 %(40 °Cで 50 %までリニアに低下) |
高度 | <2,000 m未満 (6,562 feet) |
電源要件 | 230 V ac (±10 %), 50/60 Hz, 20 A |
ヒータ電力 | 230 V acで4000 W |
過電流保護 | |
システム | 20 A, 250 V (リセット可能ブレーカー) |
メイン・ヒータ・ヒューズ | F 12 A, 250 V |
ゾーン・ヒータ・ヒューズ | F 12 A, 250 V |
コンピュータ・インターフェース | RS-232 及び USB |
ディスプレイ | モノクロ LCD |
ディスプレイ解像度 | 0.1 °C |
寸法 (H x W x L) | 400 mm x 337 mm x 700 mm |
重量 | 29 kg (均熱ブロックなし) |
均熱ブロック(オプション) | |
ブロック材質 | アルミナ |
ブロック外径 | 37 mm (1.5 インチ) |
ブロック長 | 380 mm (15.0 インチ) |
ウェル直径 | (4ウェル合計) 6.7 mm (0.26 インチ) |
ウェル深さ | 365 mm (14.4 インチ) |
重量 | 0.84 kg (均熱ブロックのみ) |
精度仕様 | |
温度を除くすべての精度仕様は、13°C~33°Cの環境温度で校正後1年間の仕様です。 | |
本校正炉は均熱ブロックの有無にかかわらず使用可能です。ただしそれぞれの状態に応じた最適の校正パラメータが必要です。標準仕様での納品時は、各設定ごとのパラメーター調整は行われていません。炉を使用する前に、使用する動作モードでの適正な校正が必要です。 | |
温度範囲 | 300 °C ~ 1200 °C |
設定温度精度 | ± 5 °C |
放射方向均一性 | ||
温度 | 9118A (チューブの中心位置から ±14 mm) | 9118A-ITB (ウェル間) |
300 °C | ± 0.5 °C | ± 0.1 °C |
700 °C | ± 0.5 °C | ± 0.20 °C |
1200 °C | ± 0.5 °C | ± 0.25 °C |
軸方向均一性 | ||
温度 | 9118A (チューブの軸方向中心位置で ± 30 mm) | 9118A-ITB (ウェルの最深部から 60 mm ) |
全温度範囲 | ± 0.25 °C | ± 0.2 °C |
温度安定性 | ||
仕様 | 9118A | 9118A-ITB |
安定性 | ± 0.2 °C | ± 0.1 °C |
安定待時間 | 2 時間, 全範囲 | 700 °C以下で3時間 700 °C超で2時間 |
注意: 温度安定性は30分間の安定性(k=2) | ||
9118A | 9118A-ITB | |
加熱時間(23 °C ~ 1200 °C) | 40 分 | 45 分 |
冷却時間(1200 °C ~ 300°C) | 180 分 | 200 分 |
モデル: 高精度熱電対用校正炉 9118A
熱電対校正用炉均熱ブロックなし