GPS 制御周波数標準器 910/910R
主な機能
- テレコミュニケーション、校正および自動テスト・システムに最適な、完全トレーサブルで、極めて高確度な周波数標準。
- 高精度な周波数とパルス/秒の時間標準を提供。各種接続オプションを提供し、ほぼどこからでもインストール、モニタリング、管理が可能。
- GPS 衛星アレイに搭載されたセシウム標準から安定度を確保。
- 非常に高い短期安定度を内蔵のオーブン制御水晶発振器 (OCXO) またはルビジューム標準 (Rb) から提供。
製品概要: GPS 制御周波数標準器 910/910R
- 独自のトレーサビリティ機能で、再校正不要
- 性能、コスト両面でお客様の要求に応えられる、高安定度の2モデル
- 最大出力数 13 まで可能、優れた費用対効果
- 910/910R のイーサネット・ポートを使用したセントラルまたはリモート・モニター、管理、データ収集
- お客様のアプリケーションに応えられる、高安定度の 2 つの動作モード
- 持ち運びも容易
- GPSView ソフトウェア
独自のトレーサビリティ機能で、再校正不要
これまで、周波数標準には自律型のものが使われてきましたが、その内部構造は現在でもどれも同じです(図1参照)。このユニットは事実上、アンテナ入力と周波数出力を搭載した“ブラック・ボックス”です。
ローカル発振器の制御プロセス(自己制御)はユーザーからは見ることができません。通常は別の周波数標準(例えばルビジューム標準)、タイマー/カウンター、PCを使用して、“ブラック・ボックス”と周波数標準との偏差を記録します。
トレーサビリティの概念は国際標準からの連続した切れ目のない連鎖であり、比較の結果は全て不確かさを明記して文書化することとなっています。
今回初めて、記録型周波数比較器と安定度の高い二次標準器が、GPS 受信器と共に一体化されました。
受信されたGPS信号は絶えず内蔵の発振器と比較されます。位相および周波数偏差は内部保存され、910/910Rのオプションのイーサネット・インターフェースを介して、いつでもPCに転送することができます。また、標準付属品のGPSView ソフトウェアを使用して、トレーサビリティ記録ををプリントアウトすることができます。この、日々の連続した校正履歴は、正面パネルのLCDディスプレイに表示され続ける直近24時間のオフセット平均値とともに、何年も内蔵の不揮発性メモリーに保存されます。
このような一次標準器への独自のトレーサビリティ体系により、再校正を行うために 910 このような、一次標準への独自のトレーサビリティ体系により、再校正を行うために910および910Rを送り返す必要はありません。安定度の高い内蔵のルビジュームまたはOCXO発振器は自己制御モードまたはマニュアル・ホールドオーバー・モードのどちらでも、米海軍天文台の一次周波数標準、ひいては協定世界時に対して絶えず校正されています。
性能、コスト両面でお客様の要求に応えられる、安定度の高い2モデル
フルーク校正器営業部の周波数標準には、内部発信器にルビジューム原子時計を用いた非常に安定度の高い910Rと、高安定度オーブン制御水晶発振器を用いた比較的安価な910の2つのモデルがあります。
最大出力数 13 まで可能、優れた費用対効果
どちらのモデルも5 MHzの正弦波1つと10 MHzの正弦波5つの出力が可能です。1秒に1回のパルス出力も可能です。
何台もの機器に同じ標準の周波数を供給しなければならない時のような、出力数を増やしたい場合には、オプション70を付けていただくと10 MHz出力をさらに5つ追加することができます。またはオプション72は、特に通信関係でよく使われる2.048 MHz出力を5つ追加します。オプション73は、GSM基地局のマスター・クロックの標準周波数13 MHz出力を5つ追加します。さらに、オプション71は、10 MHz、5 MHz、1 MHz、0.1 MHzの4つ正弦波と0.1 MHzの矩形波を1つ出力します。最後に、オプション75は、パルス波出力をご自分で決めていただくことができます。
イーサネット・ポートを使用したセントラルまたはリモート・モニター、管理、データ収集
910および910Rはどちらもオプションで通信インターフェースにイーサネットを追加して(オプション76)、オンライン・アクセスを行うことができます。標準で付属しているGPSView ソフトウェアを使い、インターネットまたはその他のLANを介して機器の状態とGPSの状態両方をモニターしたり、データを収集したりすることができます。
GPIB や RS-232 インターフェイスとは異なり、イーサネットのデータ転送距離には制限がないため、実質的にどこからでも 910/910R のモニターが可能です。
つまり計測標準担当者やラボの技術者は、機器の管理業務を行うためにノートパソコンを持ち運ぶ必要はなく、校正室内のデスクトップ・パソコンなど、どこからでも作業が可能ということです。また、複数の機器のデータを同時にリアルタイムで観察することもできます。
アプリケーションに合わせて選べる、安定度の高い 2 つの動作モード
ほとんどの場合長期的な周波数の変化(エイジング)を完全に排除する、周波数標準の自動調整モードを選ばれることと思います。この自動調整モードは、910および910Rのデフォルトのモードでもあります。有効な衛星信号が存在する限り、内部発振器はモニターおよび調整され24時間の周波数オフセットの平均を常に事実上ゼロにすることができます。しかしこのモードでは、ルビジュームを除く全ての発振器に内在する短期、中期安定度は妥協を余儀なくされます。これは全てのGPS周波数標準について言えることです。受信されたGPS信号は大気の状況の変動により、周波数が短期的に比較的大きく変動しています。このため受信したGPS信号で910(OXCO)を自動調整すると、100秒から1000秒の平均化時間における安定度が僅かながら低下します。
このモードでは、内蔵の時間ベースの発振器と受信したGPS信号の偏差が常に測定され、発振器(自動調整型)を調整します。最終的な周波数オフセットおよび調整データは24時間ごとに不揮発性メモリーに保存され、トレーサビリティ記録として印刷することができます。実際の周波数オフセット(24時間の平均値)を計算して正面パネルに表示します。
アプリケーションによって、デジタル通信ネットワークにおけるジッターとふらつきの測定などでは特に、より高い短期安定度が要求されることがあります。
独自のマニュアル・ホールドオーバー・モードでは、実際の測定中に自己校正モードとホールドオーバー・モードを切り替えることができます。これにより、測定開始時におけるより優れた周波数確度と、測定中を通してより優れた安定度を得ることができます。このモードでは、内部発振器の調整は行われません。通常、GPS信号が使用できないときに自動的にこのモードになりますが、Hold-Overキーを押して手動で選択することもできます。GPS信号が使用可能な時にマニュアル・ホールドオーバーに設定されていると、実際の周波数オフセットが算出、表示され、24時間ごとに不揮発性メモリーに保存されます。
910Rのルビジューム発振器は極めて安定度が高いため、平均化時間1000秒まで自己校正モードとホールドオーバー・モードとの差は測定されません。
持ち運びも容易
マニュアル・ホールドオーバー・モードでは、910 および 910R はスタンドアローンの OCXO またはルビジウム周波数標準器として動作します。これによって、持ち運びにくいという、GPS 受信器の代表的な欠点が1つ解決されます。一般的な GPS 受信器は、場所を変えるとロックに数時間かかるのに対して、910 と 910R はほんの 10 分程度で使用できます。
GPSView ソフトウェア
GPSView は Windows 95/98/2000/NT 上で動作し、GPS 制御周波数標準器との通信を行います。主な用途は、910/910R の内部不揮発性メモリーに保存された 24 時間の周波数オフセット値に基づく、トレーサブルな校正記録の作成です(図 3)。
2 年に 1 回、PC にデータをダウンロードするだけで、使用開始からの切れ目のないトレーサビリティの連鎖が得られます。短期位相変動やより短期間での性能分析のため、直近の 40 日間のデータをダウンロードすることもできます。
GPSView ソフトウェアからは、動作モード(自己調整またはホールドオーバー)を制御することができ、また間違って「Hold-Over」キーを押してモードを変更してしまうことのないように、正面パネルをロックすることもできます。オプションのパルス出力の周波数とデューティ・サイクルの設定も可能です。
仕様: GPS 制御周波数標準器 910/910R
全般仕様 | |
動作モード | 自己調整モード: このモードでは、タイムベースの内部発振器と受信した GPS 信号の偏差が常に測定され、発振器(自己調整型)を調整します。結果の周波数オフセットと調整データは 24 時間ごとに不揮発性メモリーに保存され、トレーサビリティ記録として印刷することができます。実際の周波数オフセット(24 時間の平均値)が計算され、フロントパネルに表示されます。 |
ホールドオーバー・モード: 内部発振器の調整は行われません。通常、GPS 信号が受信できないときは自動的にこのモードになります。「Hold-Over」キーを押して、手動でこのモードを選択することもできます。GPS 信号の受信中にマニュアル・ホールドオーバーが設定されていると、実際の周波数オフセットが計算され、表示され、24 時間ごとに不揮発性メモリーに保存されます。 | |
周波数安定度 - GPSロック時 910R(GPS-ルビジウム) | 周波数オフセット(24 時間平均): <1 × 10-12* 短期(アラン偏差): <1 x 10-12 (t = 100s) <3 x 10-12 (t = 100s) <1 x 10-11 (t = 10s) <3 x 10-11 (t = 1s) ウォームアップ(+25℃): ロックまで 20 分 *温度が 23°C ± 3°C の時 |
周波数安定度 - GPSロック時 910(GPS-OCXO) | 周波数オフセット( 24 時間平均): <1 × 10-12* 短期(アラン偏差): <1 x 10-12 (t = 100s) <3 x 10-12 (t = 100s) <1 x 10-11 (t = 10s) <3 x 10-11 (t = 1s) ウォームアップ(+25℃): ロックまで20分 *温度が 23°C ± 3°Cの時 |
周波数安定度 – ホールドオーバー時 910R (GPS-Rb) | エージング/24 時間: <2 × 10-12 (代表値) エージング/1ヵ月: <5 x 10-11 温度(0℃ ~ +50℃): <3 x 10-10 温度(23℃±3℃): <2 x 10-11 (代表値) 短期(アラン偏差): <3 x 10-12 (t = 100s) |
周波数安定度 – ホールドオーバー時 910 (GPS-OCXO) | エージング/24 時間: <3 × 10-10 エージング/1 ヵ月: 3x 10-9 温度(0℃ ~ +50℃): <2.5 x 10-9 温度(23℃±3℃): <4 × 10-10 (代表値) 短期(アラン偏差): <1 × 10-11 (t = 100s) <5 × 10-12 (t = 10s) <5 x 10-12 (t = 1s) ウォームアップ(+ 25℃): 5 x 10-9まで10分 |
位相ノイズ - 910R | オフセット 位相ノイズ 1 Hz: -80 dBc/Hz(代表値) 10 Hz: -90 dBc/Hz(代表値) 100 Hz: -130 dBc/Hz(代表値) 1 KHz: -140 dBc/Hz(代表値) 10 KHz: -140 dBc/Hz(代表値) 100 KHz: -145 dBc/Hz(代表値) |
位相ノイズ - 910 | オフセット 位相ノイズ 1 Hz: -100 dBc/Hz(代表値) 10 Hz: -120 dBc/Hz(代表値) 100 Hz: -130 dBc/Hz(代表値) 1 KHz: -135 dBc/Hz(代表値) 10 KHz: -135 dBc/Hz(代表値) 100 KHz: -135 dBc/Hz(代表値) |
基準出力(BNC) | 10 MHz: 正弦波、0.5V rms、50Ω 5 MHz: 正弦波、0.5V rms、50Ω 2.048 MHz(オプション 75): +/-1.2V +/-10%、75Ω(G.703:10) 1 pps: TTLレベル、low < 0.4V, high > 2V、50Ω負荷 パルス出力(オプション 75): TTLレベル、low < 0.4V, high > 2V、50Ω負荷 |
追加 5 系統 10 MHz出力(オプション70) | 上記 10 MHz 仕様参照 |
多系統基準出力(オプション71) | 正弦波出力: 10, 5, 1, 0.1 MHz >1 Vrms、50 Ω 時 パルス出力: 0.1 MHz; >3 Vp-p、50 Ω 時 0 V =LO <0.8 V, 3 V |
10 MHz、5 MHz、2.048 MHz 出力(オプション 72) | 周波数安定度 910 および 910R の周波数安定度仕様参照 |
追加5系統 13 MHz出力(オプション 73) | インピーダンス: 50 Ω 出力信号: TTL(対称波形) 50ƒn Ω の代表レベル HI:2.35 V LO:0 V 立上り時間: 10%~90%: 2 ns ジッター: < 0.01 UI 長期安定度: 主基準器と同じ |
1 pps 出力(GPS ロック時) | デューティ・サイクル: 1.6 GHz で約 20% ジッター: UTC または GPS に比して <60 ns rms(ホールド・ポジション、SA オン時) |
パルス出力 (オプション 75) | 周波数は付属の PC プログラムで設定 選択可能周波数: 1/(N × 10-7) Hz、N は整数 工場出荷時の設定: 1 Hz デューティ・サイクル: 50% ジッター: <500 ps rms 周波数安定度 910 および 910R の周波数安定度仕様参照 |
イーサネット・インターフェース (オプション 76) | 通信ポート: コネクター: RJ45 プロトコル: 10Base-T バッファー RAM: 1 kbit 設定ポート: コネクター: Dsub9、RS232 |
内部保存データ | 24時間周波数オフセット: 2年間のデータ、不揮発性メモリー 調整データ: 2年間のデータ、不揮発性メモリー |
コントロール | 手動 ホールドオーバー: 自動 GPS 調整を行わず、ホールドオーバー動作を実行します。これにより、内蔵のルビジウムまたは OXCO 基準発振器が、GPS モニタリング・システムの調整を受けずにフリー・ラ ンとなり、より高い短期安定度を実現します。 |
LED 表示 - GPS ロック時 | ON: 自己調整モード OFF: ホールドオーバー・モード |
LED 表示 - アラーム | ON: 機器のハードウェアよりアラーム通知。7 セグメント・ディスプレイに説明が表示されます。 OFF: 通常動作 |
LED表示 - 手動ホールドオーバー | ON: ホールドオーバー・モード強制実行時。GPS 信号を受信している時は 24 時間周波数オフセットが表示されます。受信していない場合は「------」と表示されます。 OFF: 「GPSロック」の状態により、自己調整モード、ホールドオーバー・モードを自動選択。 |
GPS受信部 | アンテナ・コネクター: N 型 チャンネル: 8、パラレル・トラッキング キャリア、コード: L1、C/A |
アンテナ(オプション01) | タイプ: アクティブL1 動作時温度: -40℃~+70℃ 高さ: 81 mm(3.2 in)(コネクターを除く) 重量: >30 dB ゲイン: TNC |
アンテナ・ケーブル (オプション 02) | タイプ: RG213 長さ: 20 m コネクター: N タイプおよび TNC(オス) ケーブル遅延: 101 ns 減衰: 1.6 GHz で約 8 dB |
PC接続 | インターフェース: RS-232、DTE コネクター: DB9(9 ピン、オス)、Rx1(ピン 2)、Tx(ピン 3)、GND(ピン 5) ボー・レート: 9600 bps データ構造: 8 データ・ビット、1 ストップ・ビット、パリティなし |
ファン | 温度制御 |
環境 | 温度: 0 ℃ ~ +50 ℃(動作時) -40 ℃ ~ +70 ℃(保管時) 安全性: CE: EN 61010-1 + A1(1992) + A2(1995)準拠 EMI: CE: EN 1326-1(1997)準拠 |
消費電力 | 電源電圧: 100 ~ 240 V(±10%) 電源周波数: 47 ~ 63 Hz 910Rの電力: ウォームアップ時 <75 W、連続運転時 <35 W 910の電力: ウォームアップ時 <25 W、連続運転時 <12 W |
サイズ | WxHxD: 315 x 86 x 395 mm |
重量 | 910R: 4.4 kg(本体)、7.4 kg(出荷時) 910: 3.9 kg(本体)、6.9 kg(出荷時) |
モデル: GPS 制御周波数標準器 910/910R
GPS制御OCXO周波数標準器、5 x 10 MHzおよび1 x 5 MHz出力
標準付属品:
- オペレーター・マニュアル
- 校正成績書
GPS制御ルビジューム周波数標準器
5 x 10 MHzおよび1 x 5 MHz出力
10 MHz 追加出力 5 点
0.5 Hz ~ 5 MHz 追加パルス出力 1 点
0.5 Hz ~ 5 MHz 追加パルス出力 1 点
イーサネット・インターフェイス
10 MHz 追加出力 5 点
マルチ・リファレンス出力(0.1 MHz、1 MHz、5 MHz および 10 MHz 正弦波出力、+ 0.1 MHz 方形波出力)
0.5 Hz ~ 5 MHz 追加パルス出力 1 点
以太网接口