オシロスコープは非常に複雑な計測器です。最も基本的なレベルでは、波形に簡単かつ直接アクセスできるようにして、その情報の定性および定量分析の両方を行うことができます。しかし、あらゆるオシロスコープは、1 つのツールで幅広い機能と幅広い周波数、幅広い電圧を扱う柔軟性も備えています。このため、オシロスコープの校正はより複雑であり、重要でさえあります。
オシロスコープの校正は、その測定値の確度と信頼性の保証に不可欠です。時間の経過と共にオシロスコープの性能がドリフトし、測定値が不正確になる場合があります。こうしたドリフトは、環境条件や日常的な使用、摩耗などの原因で発生します。
オシロスコープを校正することで、測定値の確度を信頼性を保証し、信頼できるデータに基づいて意思決定することができます。航空宇宙や医療などの多くの業界には、定期的な頻度で機器を校正して業界標準に準拠していることの保証を求めるる厳しい規制もあります。オシロスコープの校正を怠ると、データが不正確になり、コストのかかるエラーや安全上の問題につながることがあります。
校正要件
オシロスコープは複雑な機械かもしれませんが、幸いなことに、校正する必要があるのは、いくつかの基本的な機能だけです。
- 垂直振幅係数
- 水平時間係数
- 周波数応答
- トリガ応答
校正の手法と手順では、これらのパラメータに関係する機能条件に対処しながら、パラメータを測定する必要があります。使用時のオシロスコープの性能が校正中に観察・測定された性能と同程度であるようにするには、実際の計測が適切である必要があります。これにより、オシロスコープの使用中に得られたデータおよび結果が信頼できるものになります。
校正するパラメータ
ここでは、たいていのオシロスコープでトレーサビリティを確保するために検証または校正する必要があるパラメータのリストを示すことが有用と思われます。これらパラメータには、各入力チャネルに固有で、各入力を検証する必要するものがあります。またスコープに固有で、各チャネル入力で検証されないパラメータもあります
- 垂直振幅の確度
- 垂直コントロールの可変範囲
- 垂直チャネルの切り替え
- 水平時間の確度
- 内部校正器の精度
- パルスのエッジ応答
- 垂直チャネル帯域幅
- X軸の帯域幅
- Z軸の帯域幅
- 水平タイミング
- タイムベースの遅延精度
- 時間の倍率
- 遅延時間ジッタ
- 標準トリガー機能
- X-Yのフェーズ関係
パラメータの詳細
オシロスコープの表示ジオメトリ
ジオメトリの表示設定は、厳密には校正パラメータとはみなされません。現代のほとんどのデジタルオシロスコープでは、この確認は必要ありません。アナログのオシロスコープの場合、表示とはウィンドウであり、ウィンドウを使ってほとんどの(視覚的)測定が行われます。ジオメトリ表示は、他の校正プロセスに進む前に設定または少なくとも調べて、測定値と同じくらい正確であることを確認する必要があります。以下を確認するとよいでしょう。
- 表示のアライメント
- 地球のフィールドスクリーニングまたは補正
- 焦点および強度コントロールの範囲
- バレル歪み
- ピンクッション歪み
- X 軸および Y 軸位置決めコントロールの範囲
リアルタイム (アナログ) のオシロスコープでは、表示画面上の目盛りまたはグリッドは、画面の画像とは別のエンティティです。このことは、目盛りを測定ツールとして使用する場合は、目盛りのアライメントを校正プロセスに含める必要があることを意味します。
デジタルストレージオシロスコープ (DSO) におけるデジタル表示が導入されたことで、スクリーン表示と目盛り間の幾何学的な相関関係を手動設定する必要性は大幅に減っています。デジタルデータ値とカーソルは測定性能の低下になることも、向上になることもあります。
電子カーソルを使用すると、そのカーソルは内部の DC 電圧標準に結び付けられて、トレースデータやチャネル感度と内部的にリンクします。その場合の最大の要件は電圧標準を校正することです。
校正の続き
オシロスコープ校正プロセスの次のステップは、次の記事で説明しています。